藤井氏と尾原氏が『アフターデジタル』でまとめているアフターデジタルという企業のコミュニケーションの在り方は、人間関係においても言えるのではないか。


両氏は著書『アフターデジタル』の中で、オフラインがデジタル世界に包含される世界を「アフターデジタル」と呼び、多くの日本人の捉え方が「ビフォアデジタル」であることに警笛を鳴らしながら、世界潮流から見たデジタルトランスフォーメーションの方法論を提示している。
 
日本企業はオフラインを軸にしてオンラインを活用しているが、先進的な世界では考え方のベースがオンラインになっていて(オンラインが“主”)、オフラインは信頼獲得可能な顧客との接点という位置づけ(オフラインが“従”)であること。「顧客接点データを多く持ち、それをエクスペリエンスの良さに還元する」という新たな改善ループをいかに高速で回せるかが、新しい競争原理になっている、とのこと。

これは企業のサービス競争の原理であるが、実は、これあらゆるコミュニケーションの未来の在り方なのではないか?

私はかねてから、同じ人間と毎日いっしょに住む結婚の在り方や仲いいからといって毎日同じ人と会う在り方に疑問があった。しかし、好きな人や関心や志を共にする人と毎日密にコミュニケーションを取ることを人間的であり、いいことだ。問題は、フィジカルで会うとなると、リアルタイムで両者が拘束され、さらにノンバーバルなあらゆる情報が必要となるコミュニケーションは道具的なコミュニケーションにはめんどうなだけだ。いくら仲良しや夫婦、仲間であっても、実際問題日々のコミュニケーションの多くは道具的なコミュニケーションであろう。

ここで、「アフターデジタル」的な考え方が応用できる。日々のコミュニケーションはネット上のチャットや場合によっては音声通話、動画チャットで行い、要所だけ、実際に面と向かってコミュニケーションする在り方。日々のネット上のコミュニケーションで相手の状況や、個人の歴史を理解していき、実際に会うときだけそれらの情報をもとに深く、さらに感情的なやり取りをする。こうすることで、多くの人たちと深く実りのある関係を築けるのではないか。これはもちろん、プライベートな人間関係、仕事場における人間関係、あらゆる場面のコミュニケーションについていえることだ。